本の概要
まず本書の概要ですが、冒頭でも述べたように「気象病」について初めて体系的に触れた本となっています。 気象病とは、本書の定義によると以下の通りとなっています。気象病とは、気温、湿度、気圧、そして天候の変化によって引き起こされる心身の不具合の総称です。 「天気病」などと呼ばれることもあります。 (P3)本書の著者は、大阪天王寺でクリニックを営む総合診療医の先生。 訪れる患者さんに気象とともに症状の悪化を訴える人が多かったことから、気象病について調べるようになったといいます。 本書では、低気圧などの天候の変化によってもたらされる心身の不調が発生する仕組みとその対策について、 全般的な観点および、頭痛・憂鬱などの個々の症状別に解説を行っています。 読んでみて驚いたのが、「低気圧が近づいてくる時に症状が起こるので、今高気圧でも低気圧が近づいてくる前であれば症状が起こる場合もある」ということ。 実は私も、学生の頃は天気が悪くなっても何も不調を感じなかったのですが、 25歳になったくらいから低気圧が近づいてくると地面に引っ張られるような感覚や精神の落ち込み、 頭痛などに見舞われるようになり、対策を求めて困っていたところでした。 気象病の症状が出やすいのは20~30代女性が多いようですが、男性に出ないというわけではないらしく、とにかく自律神経が乱れていると影響を受けやすくなるものだとか。 改善方法をネットで検索してみても、「安静にしてやりすごす」程度の回答しか得られないことが多く、 「予防的な改善策はないものか…」と思っていたので、本書で紹介されていた対策はネットの記事に比べて踏み込んだものが多く、どれも役に立つものでした。 気象病と一口に言っても症状はさまざまですが、本書はかなりいろいろな症状に対する言及がなされているので、多くの方に役立つ内容となっています。 以下、本書で取り上げられている不調の症状の種類をご紹介します。
気象病で起こる症状の種類
痛みの症状
・頭痛
・肩こり
・関節痛
・古傷の痛み
・神経痛
・歯の痛み
低気圧関連のもので一番多い症状は頭痛と言われていますよね。
モヤモヤの症状
・自律神経失調症
・パニック障害
・うつ病
・不安神経症
・不眠
・のどの閉塞感
・胃腸の諸症状
・めまい
・耳鳴り
うつ病まで行かなくとも、精神の落ち込みが低気圧の影響で発生するのも珍しくない症状だそうです。
私もかなり悩まされています。
気をつけたい症状
・高血圧
・脳出血
・くも膜下出血
・脳梗塞
・心筋梗塞
・不整脈
・動悸
・ぜんそく
持病や急性の重い病気も、低気圧の影響で悪化することがあるそうです。
急に人が亡くなるときに低気圧が来ていた…なんてことも結構あるんだとか。
気になる症状
・むくみ
・手足の冷え
・肌荒れ
むくみや手足の冷えは低気圧と関係あるとなかなかわかりづらいですよね。これらの症状も気象病の一種で起きることがあるようです。
もともと持っていると、さらに悪化するようですね。
気象病に効果的な対策
気象病に効果的な対策は、症状ごとに異なる部分もあるため、詳しくは上記のそれぞれの症状のページを参考にすることをおすすめします。 ただ、気象病が発生する原因として、著者は「自律神経のバランスが崩れていること」も挙げています。 このため、出ている症状に関わらず、 自律神経のバランスを整える・鍛えることで、気象の変化に左右されない身体になることができます。 本書では、その自律神経の整え方・鍛え方についてもレクチャーが行われています。 本の中で紹介されている対策方法は、以下の通り。姿勢を正す
姿勢を正すことで血流などの流れが良くなるため、自律神経にも良い影響があるということです。 猫背・電子機器の使いすぎによるストレートネックが良くないんだとか。スマホ・パソコンを見過ぎない
前述の姿勢とも関係してきますが、スマホなどの使いすぎでストレートネックになってしまうと姿勢が悪くなって首が自律神経を圧迫してしまい、 悪影響が出てしまいます。 また、一日中パソコンに向かって仕事をしていると快適な部屋にいることが多いため、自律神経を整える能力が衰えてしまうとも書かれています。 さらに、インターネットをよく使う人は、健康が気になってネット検索で病気のことなどを調べることが多く、深刻な病気なのかもしれないという思い込みや不安に駆られ、症状が悪化する場合もあります。 気象病の影響が出ているときはデジタル機器から離れて脳をリラックスさせる必要があるとのことでした。無理に運動しない
気象病の影響を低減するには身体を動かす習慣をつけるのがよいということですが、 著者によると、急に激しい運動を取り入れることは望ましくないそうです。 (特に普段まったく運動していない人が無理に運動しようとするより、簡単で続けられるストレッチやウォーキングなどを、きちんと継続するほうが効果的だそうです。シャワーより湯船
本書によると、気象病に悩まされている人は日々のお風呂でしっかり湯船に浸かるようにするほうがよいとのこと。 湯船に浸かると抹消の血管がきっちり広がって血流がよくなるため、シャワーだけの時と比べて副交感神経がよく機能するので推奨されているというわけです。 副交感神経がよく働くと、風呂あがりに自然にリラックスして眠くなることができるので、自律神経のバランスが保たれるという仕組みになっているとか。 湯船にきっちり浸かれ!というとカラスの行水な私はビビってしまったのですが、 湯船に浸かれと言っても半身浴で30分も浸かる必要はなく、5分程度で問題ないそうです。 一番いいのはサウナで汗をかくことらしいので、温泉によく行く方は取り入れてみてはいかがでしょうか。たばこ・過度な飲酒はNG
たばこは勿論ですが、過度な飲酒も気象病を悪化させることに繋がるようです。アロマオイルを活用する
アロマオイルには様々な効果がありますが、交感神経・副交感神経を活発化させたり血圧を下げるアロマが本書では推奨されていました。 アロマバスにしたりマッサージに使ったりという方法が紹介されていましたが、単に匂いを嗅ぐだけでも結構効果があるのでおすすめです。 いいアロマオイルはちょっと高いのが難点。 本書で紹介されていた効果別のアロマオイルは以下のとおりです。交感神経を上げるアロマ…グレープフルーツ、レモン、ペパーミント、ローズマリー、タイム、セージなど。 副交感神経を上げるアロマ…ベルガモット、イランイラン、ラベンダー、オレンジ、ヒノキ、フランキンセンス、カモミールなど。 血圧を下げる作用があるアロマ…マジョラム、ゼラニウム、ラベンダー、レモン、グレープフルーツ、ネロリ、ジャスミン。 (P183)