実は北条贔屓?今更だけど、大河ドラマ「風林火山」を全話見たよ

本・映画/歴史・文化/6
風林火山
今更も今更ですが、2007年の大河ドラマ「風林火山」を全話見ました。 見終わってから気づいたけど全50話もあったらしいよ! 放映当時から出てくるおっさんたちがかなり渋かっこよくてお気に入りでしたが、 最初の方と謙信がでてくるあたりを見ていなかったんですよね。 なので、せっかく関東に興味を持ったし、北条家も出てくるようだからこの際全部見よう!と思いまして。 実は大河ドラマを頭からラストまで全部見たのは初めてです。 というか、アニメでもこんな長いの普段見ないので、なんだか一仕事終えたような感がありますね… 毎週同じ時間に見続けるというのがどうも苦手なので、まとめて見れるDVDのが好きです。 DVDは全部で13枚。 一般販売のものだと前編後編で分かれているみたいです。 こちらが後編。ディスクが青色に変わります。

主人公は武田家!だけど…?

皆様ご存じのとおり、本作「風林火山」の主人公は武田信玄の軍師「山本勘助」ですが、 どうも最後まで見ても影が薄い…気がしてならない…んですよね… 最後なんて失策で死ぬという主人公としての格好よさは…?という死に方でしたし。 ただまあ、「なんだかわからんけどチートで強い主人公」よりは勘助みたいな「生来の天才に勝てずにもがいている主人公」のがかえって私には魅力的に映りましてね。 だからこそこの大河が好きなのです。100%完全理想形ではないですけど、推し大河です。 で、話を戻しますと。武田家の影の薄さです。 もちろん主人公サイドなので武田家のシーンはいっぱいあります。 なんだけど、どうにもキャラが濃い人がよその家の人ばっかりな印象というか。 軍師が主役だったためか内政に関する描写がほとんどなく、戦のシーンばかりだったというのも原因なのかもしれないですね。 武田家の物語!というよりは「武田家を通して見た、関東の戦国時代」って感じです。 家臣団の個々のエピソードとかはとても格好よかったんですけどね~! 板垣とか、甘利とか。 あと義信くんが出てくるたび「ああ駿河侵攻…」と哀愁にかられて見ていました…

謙信ですら欠点を描かれたというのに…完璧君主扱いの氏康の扱いの良さ

で。 信玄が出てくるということは、今川義元・北条氏康と結んだ「甲相駿三国同盟」などの話も出てくるわけです。 それ以前にも、信玄の父・信虎の時代に北条とはドンパチしていますしね。 (戦国大戦や信長の野望でもイベントのあった「河東一乱」) なので今川・北条もけっこうガッツリ出演していたわけなんですが、 この中でなぜか「氏康くんだけがめちゃめちゃ持ち上げられまくりで描かれている」んですよ。 (正確には、「持ち上げられている」というより「落とされる要素が極端に少なかった」という実態ですが) 氏康好きの色眼鏡であることはご承知おきいただきたく思いますが、それを差っ引いて見たとしても、露骨だと思うんです。 義元は桶狭間の戦いで死ぬときに「勘助にハメられて死んだ」ことを演出するためか、出来る男だけど「激昂しやすく高慢」な性格として描かれていました。 (実際の義元はかなり冷静な人だったという話もあります→「今川義元が苛立った珍しい書状」) [blogcard url=”http://rek.jp/?p=5977″]
今川義元という人物は、感情を殆ど表わさない。これは、彼の文書を網羅して読んできて判ったことだ。他の大名だと文面にもう少し癖が出てくる。誠実さお人好しぶりが如実に出ている今川氏真や、かっとなって威圧的な文面を頻発させる北条氏康、それと似ているけれどもう少し皮肉っぽい上杉輝虎、心配性で愚痴っぽい武田晴信などなど。彼らと比べると、義元には本当に通り一遍の文面が多い。 (「歴探」様 該当記事より引用)
…かっとなると威圧的な氏康くんとか皮肉屋謙信とか「お母さんかな?」な信玄とかめちゃくちゃ萌えますがそれは置いておいて。 信玄のライバル・謙信も最初こそ「神に身をささげたチート天才」扱いだったものの、家臣団との衝突・勘助との高野山での再会で「戦には強いけど我儘育ちの電波なケツの青い坊ちゃん」というキャラ付けを加えられ、最終的には「信玄と向いている方向が違うだけで己の我を通したい「戦国大名」であることに変わりはなくない?」という感じになっていました。 が、ですよ。 北条家に目を向けてみると、欠点らしい欠点が殆ど要素として付加されていなかったんですよ。 河越夜戦で城を囲まれたことも「囲まれた」としか言われていないですし、 関東管領の上杉憲政が城を追われて「助けて謙信マーン><」してきた時も、「北条は我が物顔で関東を~」「よっしゃ退治します!」とか言われている割に「我が物顔で侵略しまくる様子」とかは全く出てこないので、「これ憲政の被害妄想じゃね」感がすごかった。 (今川家とかは、三河も尾張もぶんどるぜ!と義元本人が言っているので) 氏康本人が登場するシーンも、
・勘助が士官を求めてくるが「今のお前は迷いがあるから修行してこい」とさわやかに送り出す ・ほぼ初登場に近いシーンですでに「自分は臆病者だから守るものがしっかりわかっている」的なことを言う大人ぶり ・援軍としてやってきた勘助を昔馴染みかのように歓待 (あちこちで罵声を浴びせられまくっている勘助に対し声を荒げることすらせず終始いい顔) ・内通者をあえて懐柔し密偵として使う懐の広さ&頭脳 ・憲政の嫡子、龍若丸に恥をかかせることなく名誉の死を与え、彼を売った配下たちにも制裁を加える君主としての厳しさも見せる (余談ですが風林火山の氏康くんは龍若丸と屋敷の濡れ縁前で太刀打ちし合ったときに顔に傷を負っています=氏康傷か) ・謙信の小田原包囲をしのぎ切った後の酒宴で「我が家の唯一の救いは一族の仲が良いこと」「それだけが救い」などと発言
…となんだかやたら格好いい&イメージ向上につながるものばかり。 第二の主人公である信玄もここまで格好良くは描かれていなかった気がしますよ…? 一体どれだけ氏康くんを持ち上げたら気が済むんでしょうか。いいぞもっとやれ 「領土欲じゃない、生きるために戦うんだ!」と声高に主張する風林火山の世界をもってしても、「下剋上から家を創ったにもかかわらず基本姿勢が防衛である」北条家は「異質な存在」として描かれていました。 アンサイクロペディアの「相模の亀」表記はもしかしてこのドラマから来てるんでしょうかね。 義元が実際そう呼んでたし。 欠点の描写がほぼない+前述の氏康の「イケ殿エピソード」のおかげで異様に「デキる家」っぽく見えた、という結果です。

北条家の大河もこうであってほしいなぁ

そんな北条家ですが、まだ大河ドラマで主役を張ったことはないんですよね。 この間小田原を訪問した時の北條五代祭りでも、北条氏の大河ドラマを!という旗を掲げてパレードしていました。 2016年の大河ドラマ「真田丸」は真田氏がメインなので、そうなると北条家もかなり主役級に絡んでくるはずなので期待しています。 北条五代を大河ドラマに!(北条五代観光推進協議会) ↑北条市の大河ドラマ実現に向けて活動している「北条五代観光推進協議会」のFacebookページ。 会員登録しなくても見れます。 北条関係のイベント情報が随時更新されているので要チェックですぞ~ ここ数年の大河ドラマを見ているとちょっと不安でならないですが、もし北条氏の大河をやることになったとしたら、 是非風林火山に出ていたような「地味だけどガツガツしすぎない格好いい北条家」を出してほしいなぁと切に願った、そんな視聴後でした。 氏綱さんが氏康くんに訓戒を遺すシーンで絶賛父子確執中の信虎・晴信を背景映像にしていたのは皮肉があふれてて泣けたなぁ… ◆こちらもあわせてどうぞ 真田丸での今後の北条家の扱いが心配-「冤罪「北条氏政の汁かけ飯」」支援 真田丸2話で勝頼の妻、桂林院(北条夫人)が存在ごとカットされていた件 ◆2016年の大河ドラマ「真田丸」関連の記事は以下でまとめています。 [blogcard url=”https://sengokulife.com/tag/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E4%B8%B8/″]