発達障害やその傾向のある人の中には、音に過敏だったり、音が聞こえ過ぎたり、
普通の人にはなんでもない音がストレスになってしまう、
いわゆる「聴覚過敏」に悩む人も少なくありません。
私もその一人です。
普段は音楽を聴きながら通勤・通学することで、
周りの音を相殺してなんとかしようとしていました。
ですが、いくら音量を上げても周りの音が消えるわけではないので、
あまり効果を感じられず、耳からくる疲れやすさも消えないままでした。
ノイズキャンセリング機能付きヘッドホンを、
聴覚過敏対策に使う人もいるというのも聞いたことがありましたが、高くて手が出ない…
そんな中、通っている就労移行支援事業所のスタッフが、
ノイズキャンセリング付きヘッドホンを偶然買ったそうで、
1週間ほど借りてみたら、驚くほど耳からの疲れが減ってびっくり。
すっかり気に入って後日自分でも、最上位モデルの「SONY WH1000-XM2」を購入。
けして安くはない買い物でしたが、購入から半月ほど経ち、
とても効果を実感していますので、その詳細についてシェアしようと思います。
感覚過敏対策で耳栓・イヤーマフ以外の方法を探している人、
感覚過敏対策用にノイズキャンセリングヘッドホンを購入しようか検討している人の参考になれば幸いです。
実際の使用感については私が購入した「SONY WH1000-XM2」と、
借りた「SONY MDR-XB950N1」を中心に記載しています。
※ノイズキャンセリングの効果には個人差があります。
静かになりすぎてかえって辛くなった、あまり効果を感じないという人もいますので、
できるだけ購入の前家電量販店の音楽コーナーなどで体験することをおすすめします。
早見表:上位機種・安いモデル、どちらが向いてる?
・上位機種が向いている人 | ・安いモデルが向いている人 |
とにかく高いノイズキャンセリング効果が欲しい人 | あまりに静かすぎると逆に集中できない人 |
もともと音楽視聴にヘッドホンをよく使っている人 | それなりに外の音が聞こえて欲しい人 |
折りたたみ機能が欲しい人 | 電池が長持ちして欲しい人 |
通勤・通学でつらい!聴覚過敏は軽減できる
聴覚過敏だと特に、通勤・通学で使う電車・バスの中の音や、
雑踏のガヤガヤがしんどいという人は多いですよね。
さらに、明確に「しんどい!」とわかる場合だけでなく、
知らぬ間に音による疲れが蓄積していることもあります。
とはいえ、
「音楽視聴用のノイズキャンセリングを使っても、耳栓やイヤーマフほどは効果ないんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
たしかに昔のは耳がこもったような感じになるだけで、たいして効果ないなーという感じでした。
ですが、最近のノイズキャンセリング技術の進歩は凄まじく、
ブログ・商品のレビューなどでも「聴覚過敏対策に使ってみた」「楽になった」という声が実際にあります。
私も最初は半信半疑でしたが、使ってみると効果絶大なんですよね。
聴覚過敏対策にノイズキャンセリングヘッドホンがおすすめな理由
耳栓が苦手でも使える
耳にものを入れる感覚が苦手で、耳栓が苦手という方は一定数いると思います。
ヘッドホンの場合は耳を覆うタイプなので、この点が気になりません。
人の耳に辛い音を選択的にカットしてくれる
エアコン空調の音、車/電車の走行音などはうるさいと意識していなくても、
意外と耳に負担がかかっていたりします。
音楽を聴きながらなので苦手な音をより遮断できる
イヤーマフとの最大の違いです。
音楽を聴きながら通勤・通学したい人にとっては、
楽しみを維持しながら聴覚過敏対策ができます。
※好きなものなら音楽でなくても、外国語のリスニングやラジオなどでもOK
ノイズキャンセリング耳栓等だと音がしないのでホワイトノイズが気になってしまいますが、
音楽を流すことでホワイトノイズがほとんど聞こえない状態になるのもメリットです。
ノイズキャンセリングヘッドホンの効果
人の声がまろやかに聞こえるようになる
ノイズキャンセリングの最大の効果がこれ!
図に示した通り、
ノイズキャンセリングをする前は人の声がビリビリと耳に刺さる感じで聞こえていたのが、
ノイズキャンセリングをONにすると、刺さる用な感じが消え、まろやかに聞こえるようになります。
完全に人の声が聞き取れなくなるというよりは、擬似的に聞き取りにくくしているような感じです。
近くの人の会話であれば、意識して聞こうとすると内容がわかる程度には聞こえます。
でも他のことに集中していたら邪魔しない程度には聞こえない、そのくらいに低減してくれます。
聴覚過敏の人は不必要な情報をカットできないのでそのまま聞き取りすぎているのですが、
それを和らげることで、辛くなるのを防いでくれているようなイメージです。
もしかしたら、聴覚過敏のない人はこんな感じの聞こえ方をしているのかもしれません。
電車内/バス内がとても静かに感じる
電車・バスの中で聞こえる空調の音がほとんど聞こえなくなります。
(特に「ゴーッ」っという低い音に効果が高い)
アナウンスと違い、別に聞こえなくてもいい音ですしね。
乗り物で音がうるさくて疲れる…というのがほぼなくなります。
私はバスに30分くらいしか乗らない距離で使っていますが、
相当楽になったと感じたので、
通勤・通学時間が長い人ほど効果を実感できると思います。
通勤・通学の疲れが減る
不必要な音をカットしてくれるので、
耳からの疲れが減り、通勤・通学するだけで消耗するあの感じをラクにしてくれます。
いらない音を拾っているだけでも意外と疲れていたんだなと。
疲れが減る=体力温存に繋がり、自分の時間を捻出する余裕も出てきます。
イライラしにくくなる
電車やバスの中で話し声や赤ちゃんの泣き声が気になるときってありますよね。
よっぽどうるさいならその人達が悪いと言えますが、
そうでもないのに気に障ってしまって辛い、というのはわりと聴覚過敏あるあるじゃないでしょうか?
ノイズキャンセリングによってこれがカットされるので、
体の疲れだけじゃなく、メンタルも疲れにくくなります。
メンタルの調子を一定に保てると、体の調子も整うので、一石二鳥です。
あと、Bluetooth音楽プレイヤー/スマートフォンがあると無線で接続でき、
コードが絡まることがなくなるのでその手のイライラもなくなります!
Bluetooth対応してないプレイヤーしかないよ!って場合は、
オーディオケーブルがついてくるのでそれを使うか、
「Inateckワイヤレスオーディオトランスミッター」を使ってBluetooth化すると吉。
(付属のオーディオケーブルはこんな感じ)
ノイズキャンセリングヘッドホンはこんな場面に役立つ
聴覚過敏対策用として最大限効果を発揮させるには、
主にこんな場面のときに使うのがおすすめです。
電車・バス内
ノイズキャンセリングヘッドホンが最も活躍する場面です。
通勤・通学も含め、公共交通機関の中は聴覚過敏の人につらい音がたくさんあります。
例えば、
- 空調の音
- 走行音、ブレーキの音
- 人の会話
- 赤ちゃんの泣き声
など。
できれば、乗車する前から着用しているとストレスなく過ごせます。
会社や学校の休憩時間
意外と大活躍するのが、休憩時間。
というのも、がっつり休憩したいときに、周りが騒がしいと落ち着けないですよね。
自由時間は気が大きくなって大ボリュームで話に花が咲く人も多いですし、
そういうときにノイズキャンセリングを使うとイライラさせられずに済みます。
仮眠を取りたいときなどにも便利。
ただし、寝過ごしには注意してください!
また、ノイズキャンセリングヘッドホンはもともと、
出張で飛行機を使うビジネスマンを主なターゲットとしているようなので、
旅行などでも活躍してくれます。
ノイズキャンセリングヘッドホンのデメリット
音を聞き取りづらくなる
路線にもよりますが、電車・バスのアナウンス等はかなり聞き取りづらくなります。
外を歩く時(特に慣れない場所)使う場合は、
- アナウンスを聞く時だけ外す
- 現在の停車駅が視覚的にわかる位置に立つ
- 音量を下げる
など注意が必要でしょう。
また、密閉&ホールド感が強いので安いタイプのヘッドホンに慣れていると、
外の音が全然しなくて最初は少し不安になるかも。
意外と重い
付属品イヤホンや耳栓くらいしかしたことがない人にとっては、驚くぐらいに重量感があります。
慣れると案外気にならないですが、重さがどうしても気になる場合は、
必要なときだけ使うようにすれば首が痛くならないと思います。
意外と暑い
ヘッドホン、しかも耳を覆って密着する形なので夏はめっちゃくちゃ暑いです!
反面、冬は防寒イヤーマフ代わりになり便利。
お金がある人は夏だけノイズキャンセリング「イヤホン」にするのも手かも…?
値段が高い
お試しで使ってみよう!と思っても、安いものでもおおむね1万円~と高いです。
ソニー製「SONY 」というエントリーモデルで1万5000円ほど。
「Mpow H6」という機種では1万円以下で購入できますが、
安いヘッドホンが1500円くらいで買えることを考えれば高いなぁという印象は拭えません。
当然のことながら安いものほどノイズキャンセリング効果が低いです。
ただ、家電量販店の音響コーナーに行けばたいてい体験できるエリアがあるので、
そこで使用感を試すことはできます。
ビックカメラ・ヨドバシカメラ・ヤマダ電機などが近くにある方は、
買う前にお試ししてみるのをおすすめします。
自分に合ったノイズキャンセリングヘッドホンの選び方
上位機種を買えればもちろんいいのですが、
そこまで手が出ないよ!という人もいるでしょうし、
実は、安いモデルは安いモデルでいいところもあります。
それぞれの特徴を挙げますので、チョイスの参考にしてみてください。
上位機種:「SONY WH1000-XM2」「BOSE QuietComfort35」など
安いモデル:「SONY WH-CH700N」「SONY MDR-XB950N1」「Mpow H6」など
上位機種のいいところ
・ノイズキャンセリング効果が高い
そのメーカーの持つ最高の技術のノイズキャンセリング機能がついているので、
音のカット性能はやはり安いモデルと比べると段違いです。
SONYの上位機種になると、メガネ着用の有無や気圧等でノイズキャンセリング最適化をする機能がついたモデルもあります。
・折りたたみ機能やポーチ
折りたたみ(スイーベル)ができるタイプ、
専用ケースが付属してくる機種があり、持ち運び時に便利。
・デザインがかっこいい
お高いモデルなので、やっぱりデザインがかっこいいです。
後述のタッチ操作のおかげでヘッドホンについているボタンも少なくすっきりしています。
・タッチ操作
これはSONYの「WH1000-XM2」「 」に特化した話ですが、
ヘッドホン右カップをタッチすることで音量や一時停止、外音取り込みなどの操作が可能です。
安いモデルのいいところ
・安いので買いやすい
上位機種は3万~4万ほどするため、ポン!と買いにくいです。
安いモデルは「Mpow H6」で1万円以下と、比較的手が出しやすい値段になっています。
・ノイズキャンセリング効果が程よい
上位機種のノイズキャンセリングは効果が高いですが、反面とても静かになるので、
「静かになりすぎていやだ!」という人は安いモデルのほうが向いている場合があります。
・充電が長持ちする
高いモデルにくらべて、一回の連続使用時間が長めのモデルが多いです。
例)安いモデルの「SONY WH-CH700N」が35時間、高級機種の「SONY WH1000-XM2」では30時間。
・物理ボタンが多い
上位機種は指でぽちぽちするボタンが少なくなってスマートでかっこいいですが、
タッチ操作だと誤操作もおきてしまいがち。
安いモデルではヘッドホンについている操作ボタンはほぼ物理ボタンなので、
その点が気になる人は安いモデルのほうが向いています。