謙信の父で下剋上の雄こと長尾為景が詠んだ歌について調べてみた

長尾為景の和歌

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戦国大戦の群雄伝の影響もあって、最近は謙信の父・長尾為景にハマって(?)います。

為景といえば主殺しや下剋上、隙のない幕府・朝廷工作、生涯100度の戦に臨んだなどなど、どちらかというと武勇・政治面で名が知れていますが、やはりこの当時の武士らしく、文化人としての一面も持ち合わせていたようで。

というのも先日、「為景が詠んだ和歌がある」とTwitterのフォロワーさんから情報をいただいたのです。
(教えていただいた記事はおそらくこちらのブログ記事かな…?)

和歌で有名な太田道灌などとは違って、伝えられているのは一首だけみたいなのですが、気になったのでその詳細についてちょっと調べてみました。

55329687_p2

(↑クリックで拡大します)

歌の中身は

青海の ありとは知らねで 苗代の 水の底にも 蛙鳴くなり
長尾為景

(あおうみの ありとはしらねで なわしろの みずの そこにも かわずなくなり)

意味・・青い広々とした海があるということも知らずに、狭い苗代の水の底でも蛙は満足して鳴いている。

patagonia ブログより引用)

という内容。

検索してみたところ、これはどうやら「春日山日記 巻之一 為景公詠歌事」に登場する歌のようです。
(「事」の部分は「古」+「又」という旧字体)
『春日山日記』は通常『上杉軍記』の名で知られているようで、本自体の情報は米沢市立図書館のデジタルライブラリーを参考にしました。

きっちり読み込んだわけでないので間違ってる可能性大ですが、
「長尾為景は博学で歌も上手であったけれども、ある時京の三条大納言を通して時の天皇?に百首を見てもらおうと献上した際に、表題にこんな歌をつけたのだ」というエピソードみたいです。
「為景公は文化人としても優れていたけれども、謙虚なお人柄だったのだ!」というアピールなんでしょうね。
「武道においては孫呉(≒孫子か?)が術に長し、智謀は(諸葛)孔明にも負けない知勇兼備の名将」と書かれています。
(軍記特有の超AGE↑AGE↑感に笑いながらむず痒くなるのは仕方ない)

本の目次をみていきますと、為景の歌の少し後ろに「為景公戦死事」というエピソードが。
ただこれ、実際に戦死を遂げたのは為景の父・能景です。為景は普通に病死しているので。

この為景が能景と混同されていることから見ても、春日山日記は史料としての信憑性はイマイチなのかなぁという気がします。
成立年代は寡聞にして存じ上げませんが、富山に為景の塚があったりするので、為景と能景の混同は比較的早い段階から起こっていたことなのでしょうかね…?
歌の一件も史実と考えるより、為景のキャラクター付けとして利用する程度にとどめるのがよさそうですね。
(軍記物なので仕方ないといえば仕方ないのかもしれませんが)

ちなみに、今回掲載に使用した春日山日記の本文は「国文学研究資料館 電子データーベース」のURLから見ることが可能です。
リンク

序文が結構長く、本文目録は38コマ目から始まります。為景の歌のエピソードは39コマ、40コマに掲載。
(Google検索から直接アクセスできてしまうため、どのデータベースで検索すればでてくるのかは不明です…すみません)

一応検証っぽい感じの記事なので学術目的ということにしていますが、何か問題があるようでしたら該当部分は削除します。

この春日山日記が取り上げているのは謙信の時代が中心のようなので、目次には「三好長慶」とか「松永久秀」とか「大道寺」とか他にも気になるワードが結構飛び交っていました。
また面白そうな箇所を見つけたらブログで取り上げてみようと思います。

為景については「美術人名事典」で

長尾為景
越後国主。府内城主。能景の次子。博学多識にして和歌を能くする。禅正少弼。天文11年(1542)歿。

長尾為景(ながお ためかげ)-コトバンク

と書かれているんですが、春日山日記の例の歌のエピソードのところで、ほぼ同じ表現がされています。

今回取り上げた為景の和歌は、手に取りやすい書籍ではこちらの「戦国武将の歌」という本に収録されているようです。
近くの図書館にあるらしいので借りにいこうとしたら貸し出し中でした。確認したら記事にします。

→書きました。

実はこの為景の歌、「関ヶ原軍記大成」という本が記された際にも巻末に書かれ、記事冒頭のブログによればこれは作者が「見識が狭い本です」と謙遜のためにつけたものだそう。
…ですがこれ、たぶん為景のエピソードをリスペクトしたものですよね…?
本を確認していないので、あるいは為景の書いた歌集についての説明と混同されている可能性もあるかもしれない。

ちなみに、「関ヶ原軍記大成」の著者は宮川忍斎、正徳3年(1713年)の成立のようです。
情報ソース

書籍版の春日山日記も、古いですが一応あるみたいです。
活字化されているのか手書きなのかはわかりませんが、お近くの図書館で見かけたらぜひ教えてください。

 

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