大人の発達障害でも就労支援に通わないほうがいい人の例

メンタル・働き方///
就労継続支援に通わないほうがいい例

昨今の成人発達障害ブーム(?)のおかげか、就労支援事業所もあちこち新しいところができてるようですね。
もっとも質はピンキリなのですが、特殊性からか中に入ってみないと分かりづらい面も多々あります。

私も、医師に薦められて障害者の就労をサポートする就労移行支援事業所に通っていた頃、個人的に「ありえねー」と思う対応をされてめちゃくちゃ怒りを抱いたりしました。

私の場合は元から施設に全幅の信頼を寄せていたわけではないのに、それでもイラッとしてがっかりしました。

「もしかしたら、ここに通えばこの苦しい状況がなんとかなるんじゃないか…?」と期待して通った人が同じような目にあったらどうでしょうか?
メンタルを折られかねませんよね。

どこの作品で目にしたかは忘れましたが、「人は一度見えかけた希望が絶たれた時、絶望を抱く」とも言われています。
無理に定型社会に適応しようとして精神面の調子を崩すなんて馬鹿げた話です。
それなら家で趣味をするなり寝るなりしていたほうがまだマシです。
食っていけるかというと怪しいものの、在宅ワークの手段も最近は多いですし。

この記事で紹介する以下のような特徴のある人はもし就労移行支援事業所に通うと辛くなる可能性があるかもしれません。

  • 集団生活が嫌い、苦手、辛い
  • 感覚過敏がある
  • 周囲の環境が酷いと集中できない傾向がある
  • 言語能力やスキルがある程度高い
  • 他人の気持ちや視線に敏感
  • 考え方や価値観が特殊

これを読んで「通うのは辞めておこう」と思うのもよし、わかった上であえてメリットを取って通うことにするもよし(筆者はこっちです)、何かしらのお役に立てれば幸いです。

※あくまで一個人の体験談としてとらえて参考にしていただければと思います。

【就労移行支援事業所のメリットとデメリットのまとめはこちら】

こんな人は就労移行支援に通うと辛くなります

・集団生活が嫌い、苦手、辛い

・感覚過敏がある

・周囲の環境が酷いと集中できない傾向がある

・言語能力やスキルがある程度高い

・他人の気持ちや視線に敏感

・考え方や価値観が特殊(世間一般からズレている)

どうでしょう?当てはまっていましたか?

私は6つすべてに当てはまっていますが、目的があるので当時は通い続けました。

そもそも就労移行支援が対象としている人とは?

向いていない人のリストを細かく見ていく前に、まず「就労移行支援事業所」が対象としている利用者の像を見ておきましょう。

  • 65歳までの人
  • 就労を希望している人
  • 就社したい人=集団生活に入っていきたいと思っている人
  • 9時~17時、週5日働くの生活をなるべく目指したい人

以上が、就労支援の対象となる利用者のイメージになります。
「65歳までの就労を希望する人」というのが厚生労働省が掲げている内容になるのですが、下2つは暗黙のルールというか、どの就労移行支援事業所のホームページを見てもだいたいここを目標とするところが多いようです。

このように見ていくと、「そもそも就職したいのか?」「仕事を得るにしても会社に勤めたいのか?」「集団生活に馴染む必要があると思っているか?」など、就労移行支援事業所を利用する前に考えておくべきことがあるのがわかると思います。

資産があるなどで就職する必要がないならば医者に薦められても行く必要はないです。
むしろその資産を有効活用できる方策を勉強したほうが良いです。

フリーランス・在宅での仕事を考えていて、集団生活に馴染む必要がない場合もあまり有用とは言えないでしょう。
例えば、仕事がオンラインで完結していて、全く電話を使わないのに電話や社内マナーの訓練なんてしても仕方ないですからね。
(ただしフリーランスであっても仕事上のコミュニケーションは取れる必要があるので、その訓練を目的に通うのはありかもしれませんが)

現実で人とつながっていないとリズムやメンタルの調子を崩してしまうのであれば、選択肢は就労支援事業所だけではないです。
当事者会に行くなり、コワーキングスペースを利用するなり、好きなものがあるのならボランティアやカルチャースクール(絵画教室とか)でも十分社会と繋がっているんですから。

まあ、食い扶持をどうするんだという問題は残りますが…返す返すも、通うことによって精神的に病むくらいなら辞めておいたほうが絶対に良いです。

では、詳しく一つずつ「なんでこの傾向のある人は就労移行支援事業所に通うのはやめておいたほうが良いのか」について解説していきます。

集団生活が嫌い、苦手、辛い

そもそも集団生活が合わないという発達障害の人は多いと思います。
自覚的に嫌いだ!という人から、「集団生活ちゃんとしたいのに、どうしても身体が無理」というタイプまで、内情は様々でしょう。

就労支援事業所は基本的に「通所」という通う行為が必要となる場所で、自分以外の利用者と職員が事業所内で訓練をすることになります。
ですので、どうあがいても集団生活からは逃れられません。

もともと集団生活に適応しづらいタイプ…たとえば、家庭教師とか、一対一なら平気なタイプの人はやりづらい思いをします。
私がちょうどこのタイプなのですが、なにか聞きたいことがあった時にすぐに声をかけられなくて尻込みしてしまうんですよね。
で、結果他のぐいぐい聞けるタイプに職員は時間を割き…といった悪循環が起きます。
図々しい人が得してるみたいでなんかこう…嫌なんですよね。
かといって聞きたいことがなくて集中したい時に「今どう?」なんて声かけられるのも集中が切れてしまいますし。

集中生活が駄目な方、これらに耐えられますか?

※筆者自身は、環境と慣れもありこの項目は現在けっこう克服できました。かなり人や環境に左右される項目ですね。

感覚過敏がある

都会にある就労移行支援事業所はオフィス風のところが多い印象を受けます。
私の通っていた所もそうですが、一般的なオフィス同様、空気清浄機などが置いてあり、そこそこ環境対策はされています。

…が、感覚過敏がある人にとっては以下の2点が大きな壁として立ちはだかります。

  • タバコ
  • 他の利用者が発する匂い、音、動きなど

タバコ。これはもう論外ですよね。
事業所ごとに異なるとは思いますが、分煙程度でなんとかなると思っているんでしょうか。
喫煙所帰りの人が身にまとう匂いって、かなり強烈ですよね。
本当に通うつもりならば、通う前に禁煙の事業所なのかどうか、確認したほうが良いです。

発達障害のある人には感覚過敏があるなんてことはネットでちょっと調べたって出てくる内容なわけです。
タバコの匂いや化学物質による悪影響をもろに受けやすく、能率も調子も下がるのに、対応してないってどういうことなんでしょうか。
一方で、依存になりがちでタバコやめられない人も一定数いるのかもしれませんが。

完全禁煙でなかったとしても、喫煙者とそうでない人の席を分けるなど、最低限の配慮はほしいところです。

他の利用者の「匂い」については、私のいる場所が気を使える人が多いのか、
はたまた「他の人に不快感を与えない格好をする」という訓練項目があったりするので意外と気にならなかったです。
が、これもケースバイケースでしょう。

他の利用者の「音」もなかなかの問題児です。
声が大きい、奇声、挙動不審、机が揺れる…気が散ります。体調の悪い時は特に。

通うなら、そこも覚悟しておきましょう。
もし通っている最中の人なら、これらが耐えられないときは一旦休みましょう。

周囲の環境が酷いと集中できない傾向がある

上の書いた「他の利用者の音」と近い部分があります。

就労支援事業所の環境構築はその事業所に任されているので、場合によってはとても劣悪な可能性もあります。
設備事情については、経営の中からやりくりしているので仕方ない部分はあるのでしょうけども。

私の居たところは暖房・加湿・防寒用のひざ掛け等があるのでだいぶまともだとは思います。
ただ、左右の利用者との間仕切りなどはない場合があります。

パーテーションの有無を売りにしている事業所もあるので、気になる方は見学の際などにチェックを推奨します。

言語能力やスキルがある程度高い

スキルがある程度高いと、柔軟性のあるカリキュラムを組んでくれない場合、初歩的なことからやらされるので辛い部分があります。

パソコンを使いこなせる人にイチから電源の入れ方を教える…まで言ったら言い過ぎかもしれませんが、それで褒められても嬉しくないですよね?

なまじ学生時代にできる人だったり、どこかに特化していたりすると「なんかすごく子ども扱い・格下扱いされてる…」と思ってしまうので、それに耐えられるかどうかも検討材料になります。

他人の気持ちや視線に敏感

支援者(職員)も人間ですし、一部の職員以外は障害に対する理解があるとは言い難いです。
ですので、他人の気持ちや視線に敏感な人は、職員が自分とは関わりのない内容で気持ちが荒れていたり、無理解な言動をとられることで無駄なストレスがかかります。
なんで支援されに通っているはずのこちらが支援者を気遣わにゃならんの…?と思ったこと、意外とあるんですよね…

支援者にしてみれば言ってくれなきゃ分からないでしょうけれど、そもそも藁にもすがる思いでそういう支援に辿り着いた時に、救助を求める声を出す力(精神的な面も含む)が果たして残っているのか?という話です。
散々ひどい目にあわされたのに、支援するけど知識はないよ!傷ついたらその時にやめてって言ってね!ってのはさすがに酷じゃないでしょうか。

つまり、定型発達で現代社会に適応できちゃった人の無理解を受け流せるだけの元気のない人は通ってはいけない場所です。

逆に、「問題が発生した際に訴えを上げて協議し合う」ことができるなら、「就労」という社会復帰に向けて非常に良い訓練の場になるともいえます。

考え方や価値観が特殊

就労支援事業所は、あくまで一般の「会社に就職する」就労を手助けすることを目的としている施設が多いです。
行政の文言では、「在宅も含む就労」って書いてるんですが、就労と定着実績によって支給されるお金の額が変わってくるため、どうしてもそうならざるを得ない側面があるのでしょう。

ただ、そうなると、考え方や価値観が特殊な人間は通っても「なんだここ…」と感じてしまうと思います。
というか自分がまさにそれで、「必ずしも出社して8時間縛られて仕事をする必要は無いんじゃないか?」とか「なんでこんなに便利になったのに人類はまだ食うためだけに働き続けてるんだ?」とか「ソリの合わない人間同士は付き合うのをやめたらいいじゃないか」とか考えているので、
いわゆる定型社会でやっていくための「一般論」をアドバイスされても正直あまり役に立たないんですよね。

なので、考え方や価値観が自分でも人とズレてるなとわかっている人は、もし利用するならそこを自覚しておくべきです。

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