過去に受けた傷がうずく時には「これは過去の傷」と気づくことが重要

メンタル・働き方

この記事の最終更新日は【2018年2月11日】です。

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過去の傷
いじめ、からかい、苦手な人から受けた被害… もう長いこと経つのに、過去に受けた傷がふとした瞬間にうずく時ってあると思います。 即効性のある解決法ではありませんが、不用意に傷つかないために、どうしたらいいかを考えてみました。

過去の傷がうずくとき

過去に受けた「嫌な出来事」と似たようなパターンに遭遇した時、 人は過去の傷がうずいて嫌な気持ちになる。 まるでその時に戻ったかのように。 私の例で恐縮ですが、 中学生ぐらいのころ、からかわれるのに使われていた言葉やその時のノリ、 そういったものを他人から向けられると、 親しい人であってもなくても、距離感にかかわらず拒否反応が出てきます。 もうその時から10年以上は経っているというのにです。 もう傷は癒えた、気にしていない、私は大丈夫だと思っていても、 どうして「あの嫌な出来事」と似たものに直面すると、そういう反応が起きるのでしょうか?

身体は「あの時」受けたダメージを再演しようとする

その理由については、以下の記事が詳しいです。 (参考記事) [blogcard url=”http://sakuramiruku.seesaa.net/article/129146202.html″] 専門的な用語では「トラウマの再演」と呼ぶこともあるみたいですね。 簡単に言ってしまうと、「過去に受けて癒やしきれなかった傷を似た場面に遭遇した時に、今度こそ癒そうとして当時と同じ感情を発生させている」ためです。 また、アドラー心理学を世に広く知らしめることとなったベストセラー『嫌われる勇気』には「トラウマは存在しない」としながらも、 以下のような説明があります。
哲人:もちろん、傷を負った人の語る「あなたには私の気持ちがわからない」という言葉のは、一定の事実が含まれるでしょう。苦しんでいる当事者の気持ちを完全に理解することなど、誰にもできません。しかし、自らの不幸を「特別」であるための武器として使っているかぎり、その人は永遠に不幸を必要とすることになります。 (岸見一郎、古賀史健『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』P90)
こちらはどちらかというと、「トラウマの再演」に延々と気づかずに繰り返して自己防衛を続ける(過去の対処法を取り続ける)といった内容です。 さながら自分の中で、過去の傷を受けた事柄を「とても重大な危機的状況である」と扱い続けているのと同じ状態で、これはより重度の「トラウマ」であるPTSD(心的外傷後ストレス障害)のメカニズムにも通じる物があります。 PTSDの方も、記憶を司る「海馬」がうまく「出来事を過去のものとして認識しない」ことによって「脳がいつまでも過去のその時が終わらないと錯覚している」ため様々な弊害が生じる状態なのだという説明を読んだことがあります。 以上の説明でお分かりかと思いますが、過去に受けた傷がうずく時というのは自分(理性)がしようとして、わざとやっているものではないのです。 身体(本能)の部分が、「前に起きた危機的状況と似ている」と判断して自動的に反応している、いわば動物的なもの。 で、最後に、それをどうすれば止められるのか、という話になります。 [adrotate banner=”6″]  

やっかいな自動反応を止めるには?

この「トラウマの再演」の発生を止めるためには、身体が起こしてしまう自動反応にまずは気づく、認めること。 そして意識的にそこから降りる、過去と今を区別することが大事なのだろうと思います。 とにかく「ああ、これは「今の自分」が反応しているわけではないんだな」と1ミリでも気づくことができれば、 全身でどっぷり問題やダメージにはまり込んでしまうことは避けられます。 それから、1人ではどうしようもない時は「そのことを話しても影響のない第三者」に思い切りぶちまけるのもけっこう効きます。 一番わかりやすい例でいえば、カウンセラーなど。傷が重たいものであれば、自分で気づいたところで処理しきれないので、他者を頼ったほうが良いです。 「カウンセリングってただ話すだけで解決にならないんだけど…」「聞いてもらうだけでスパッと解決とかしないんでしょ?」と効果に懐疑的な人も、実際受けてみると、理性ではなく身体が楽になるので、受けることをおすすめします。 筆者もカウンセリングで一度変なアドバイス厨のカウンセラーを引いてしまい疑いの目を持っていたのですが、まともなカウンセラーさんであればきちんと聞いてくれますし、なにも解決していなくても不思議と肩の荷が降りるんですよね。 ただし、相談する相手が友人や家族だと、「傾聴」というただ受け止めるだけのスキルを持ち合わせていないこともあるので、変にアドバイスされてしまったりしてかえって逆効果だったりすることも。

まとめ:「過去は過去、今は今」という手放し

過去の傷ついた出来事の再来ではないということに気づき、不必要に傷つくことを避けるのが肝要なのだと思います。 結局、傷をほじくり返して化膿させているのは自分だということを自覚できるようになれば、 あとは消毒して、薬を塗って、絆創膏を張って、癒えるのを待ちましょう。 幽霊の正体見たり枯れ尾花、に気付けるかどうかなのかもしれないですね。 ◆こちらもあわせてどうぞ 自分の感情がよく分からないのは親の感情の子守をさせられて育ったからかもしれない話 「人間」という動物システムからは誰も逃れられないのかもしれない おしゃれに興味のない剛毛の人ほど縮毛矯正したほうがいい理由 真っ当な社会人の真っ当な正論が怖いという話