こちらは既に終了したサービスの記事です。
参考情報として残してあります。
※2021/1/13追記:メディバンファクトリーは2021年1月14日をもってサービスを終了しました。以下の情報は参考としてご覧ください。
※本記事を書くにあたり、メディバンファクトリー様から記事掲載の依頼とお試し印刷用のクーポン提供を受けています。レビュー内容については率直な感想を書いておりますが、供与を伴うPR記事要素が少しでもあるものは読みたくない・信用ならないという場合は閲覧をご遠慮ください。
同人印刷所にも、「必要なときに1冊ずつ」というほんとうの意味での(?)オンデマンド印刷ができる印刷サービスが出てきました。
現在そのサービスをやっているのはPixivの「pixivFACTORY BOOKS」と、今回記事でまとめたメディバンの「MediBang!Factory」の2印刷所です。
特徴やメリット・デメリット、入稿方法・支払い方法についてまとめておきますので、参考になりましたら幸いです。
メディバンファクトリーの特徴とメリット
・1部から印刷できる(本のみ)
とりあえず自分用に1部だけでいい場合、送料込みで1000円を下回るのでかなりお得です。
・無在庫販売ができるので自分用に1部だけ印刷し、欲しい人がいたらその都度ストアページ(ファクトリー横丁)から注文してもらう形式が取れるのでピコ手小部数サークルに優しい
同様のことはpixivの運営している「pixivFACTORY BOOKS」でも可能で「BOOTH」のストアとしての強さを考えると一歩及ばないものの、価格的にはメディバンファクトリーのほうが全体的に割安。
(pixivのほうは1冊印刷の最安値が100円以上高い)
・表紙の紙を複数から選べる
メディバンファクトリーでは通常のアートポスト紙の他、「シャインフェイスゴールド」や「しこくてんれい」「エスプリVエンボスアラレ」などの特殊紙に変更ができます(ただし値段は上がる)
競合サービスの「pixivFACTORY BOOKS」では表紙紙は変更できず、えらべるのはPP加工の有無と本文用紙の変更のみなので、ここは明確なメリットといえます。
・メディバンのアカウントがあれば改めてアカウント登録する必要がない。
しかもそのメディバンのアカウント自体もGoogleアカウント等でログイン&登録できます。らくらく。
・前述のショップ(ファクトリー横丁)も作れるため一度メディバンで印刷した本やポストカードをすぐに販売できる
・ともシェア機能(無料)で特定の相手にだけ販売ができる
ともシェアとは、URLを受け取った人があなたの作品を印刷注文できる共有サービスです。
身内向けに発行したい本や、取り置きなどに便利。Pixiv系のBOOTHでは販売ページへのパスワード等は有料機能なので、この点も特色といえます。
・支払い方法にwebmoneyが使える
支払い方法の欄で特記します。
[adrotate banner=”6″]
メディバンファクトリーのデメリット
・印刷会社サイト等と異なりpsdやPDFでの入稿ができない(CMYK入稿はメディバン独自形式に限られてる模様)
あらためてPNGかメディバン独自形式の入稿ファイルを用意しなくてはいけないので、別のところで一度印刷したことのある原稿をそのまま再版するにはやや手間がかかります。
PNG画像形式は一応無劣化の形式ではありますが、RGBのカラーモードしか持てないためCMYKデータと完全に同一にはならないので気にする人は要注意です。
・1冊500円で刷れるページ数や選べる紙が少ない&小説用本文用紙がなく小説本だと気軽に使いにくい
標準仕様になっている「J紙」という本文用紙は漫画用にするにはかなり薄めで、厚めの110kg紙などを選ぼうとすると印刷価格が上がるので本末転倒に。
また、小説用本文用紙の代名詞である「淡クリームキンマリ」という紙やそれに準ずる紙がないので小説本メインだとちょっと使いにくいかも。
(「pixivFACTORY BOOKS」では淡クリームキンマリがチョイスできます)
表紙用特殊紙も老舗の同人専門印刷所・大きな印刷通販サイトに比べるとやや種類は少なめです。また、箔押しなど特殊加工はできないようです。角丸も名刺・ポスカ限定。
・ともシェア機能にはパスワード等はないのでURLが流出した場合意図しない第三者に購入される可能性がある
・イベントやサークルスペースに直接搬入などのサービスがない
スケジュールに余裕がある作家さんや、イベント以外での発行向けなのかも。
メディバンファクトリーでの印刷発注の仕方
印刷発注の仕方自体はかなりわかりやすいです。
一部の印刷所で求められる入稿前の予約などもいらず、原稿が完成したら発注作業に移る「印刷通販型」の印刷所に近い形です。
- メディバンファクトリーのマイページ「印刷サービス」から「本を作成する」を選ぶ
- ページ数や部数など仕様の入力
- 本文入稿
- 表紙入稿
- 支払い方法選択
- 発注完了
ファイルの入稿も、ファイルをドラッグアンドドロップするだけ。ZIPしたりファイル転送サービスにアップロードしたりも不要です。
ただ、印刷所ではよくあるテンプレートファイルは用意されていないうえ、入稿のタイミングで「何ミリで作ってください」の表記しかでてこないので、まったく印刷経験のない人だと原稿作成時にこれであってるの!?とちょっと不安になるかも。
基本的にはCLIPSTUDIOやメディバンペイント等で指定できるA5、B5サイズ+3mmの塗り足しサイズでOKです。
メディバンファクトリーの入稿ファイル形式
- メディバン形式(MDP)か、PNG
PNG形式は劣化しにくいですがRGBカラーモードしか持てないため、色の再現度合いにこだわる人には厳しそう。
基本的にはメディバンペイントを使っている人で、イラストや漫画本向けの印刷所と思っていたほうがいいのかもしれないですね。
メディバンファクトリーの支払い方法
- クレジットカード(VISA、MasterCard、JCB、American Express、Diners Club)
- 代金引換(別途手数料)
- コンビニ払い
- Webmoney
コンビニ払いとウェブマネーに対応という、現代っ子にも親しみのある(?)支払い方法。
コンビニ払いは275円の手数料がかかります。
対応コンビニはセブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマート。
電子マネー…というか、Webmoneyで支払える印刷所はなかなかなく、Webmoneyウォレット等でポイントを貯めている人なら選ぶ価値があるといえます。
既存の印刷所と比較
プリントキング(印刷通販系)で刷った本をメディバンファクトリーでサンプル印刷させてもらったので、比較してみます。
・他のオンデマンド印刷との比較
メディバンファクトリーのほうが若干退色気味?な感じはありますがよく見ないとわからないレベルです。
派手に色の偏りがない分落ち着いた感じ。
単色やグラデーションにスジが入ったりもないです。(薄手の紙のカラー本文でも大丈夫だった)
モノクロ本文はベタの黒がやや薄めに出ています。色移りの心配を考えるとこのくらいでいいのかもしれない。
(黒を濃く出してくれる印刷所の場合、見栄えはいいんですが表紙の裏などにけっこう色移りする)
また、ポストカード印刷では発色は綺麗なものの、黒系の濃い色階調が潰れ気味…?という感じを受けますが…正直20枚500円送料込みでこのクオリティなら全く文句はないです。
(もともとRGB形式しかできないPNGで入稿しているため、完全な色再現は無理)
印刷所にがっつり入稿するよりどことなーく手軽な感じです。
ポストカードは裏表両面印刷できます。
まとめ
今回、初めて利用してみましたが、このタイプの印刷所の最大のポイントは「送料込み1冊500円印刷」の強さと、都度印刷がしてもらえる販売ページを作れることだと実感しました。
反面、既存の印刷所とは勝手が違って不便な箇所もあったりするので、どんな本を作りたいかによって使い分けるのがいいのかなと。
pixivの同様のサービスに比べて表紙用紙が選べたりと小回りがきく部分が多く、個人的にはまた使いたいと思う印刷所でした。
(PDF入稿に対応してくれると嬉しいなー…)
「一度頒布し終わってしまった完売本」を再版して並べておく…といった使い方をするにはかなり便利なんじゃないかなと思います。
最後に、お声がけと利用サンプルコードのご提供をいただきましたメディバンファクトリー様、ありがとうございました。
◆この記事を読んだ人にオススメ!